2012年07月12日

外貌醜状の後遺障害 (倉田)

交通事故による後遺障害の中には、顔面、頭部、頚部など日常的に露出する部位(外貌)に傷痕が残る場合があります。

自賠責保険では(労災保険も同じ)傷痕の程度によって区別しており、等級と保障金額(保険金)は次のようなにっています。
@ 外貌に著しい醜状を残すもの     7級 1,051万円
A 外貌に相当程度の醜状を残すもの 9級  616万円
B 外貌に醜状を残すもの         12級  224万円

ところで、以前は同じ程度の醜状痕でも、男性と女性では等級に差異がありました。例えば、「著しい醜状」は女性の場合は7級(1,051万円)でしたが、男性は12級(224万円)でした。なぜこのように男女で大きな差異を設けたのかは定かではありませんが、おそらく、男性よりも女性の方が就職や日常生活で不利な扱いを受けやすいと考えてのことでしょう。

ところが、約2年前に、このような差別は「法の下の平等」に反して違憲であるという判決が出ました。労災事故で顔面にやけどを負った男性が、労災保険制度の後遺障害等級表における「著しい外貌の醜状」に関する評価が、女性の7級に対して男性は12級とされているのは、男女平等を定めた憲法に反するとして訴訟を提起したのです。その結果、裁判所は後遺障害の男女格差は憲法違反であると判示しました(京都地裁 平成22年5月27日判決)。

この判決を契機に、平成22年6月10日以降の事故については、労災保険も自賠責保険も等級表の男女格差を見直して平等にしました。
これにより、改正後は、男女に関係なく、醜状痕の大きさなどに応じて、7級、9級、12級の3段階で後遺障害が認定されるようになりました。

これまで、女性が男性より不利な扱いを受けたとして女性が憲法違反を主張して勝訴した判例は多数ありますが、今回の判例は、男性が女性より不利な扱いを受けたとして憲法違反を主張して勝訴した事例であり、珍しいと言えます。
posted by kuraben at 16:32| 倉田弁護士