2012年07月03日

時効制度(井上)

法制度の一つとして、時効という制度があります。

長い時間が経過するとそれまで形成されていた法的な効果がご破算になってしまうというある意味恐ろしい制度です。

刑事ドラマなどで有名な犯人を刑事裁判にかけることができなくなる公訴時効のほか、民事では権利を失ってしまう消滅時効や土地などを不法占拠していても正当な土地の権利者となる取得時効などがあります。

時効制度が極めてイレギュラーな制度ですから、そもそもどうして時効という制度があるのか?、なぜ、時効の期間に長短があるのか?、などについて必ずしも明確な説明がしきれない部分があるように思います。

凶悪犯罪の公訴時効について疑問がもたれて社会問題となったのは記憶に新しいところです。

また、交通事故などの被害者の損害賠償の権利が3年という短期消滅時効にかかることがなぜ正当化されるのかについては学者の先生の間でも確たる定説はないと思われるくらいです。

時効期間の長さについては、人間の寿命が伸びたり、社会の変化が速くなったりということによって、時代によって変わっていくものなのか、という問いにも一概に答えられないところがあります。

鎌倉時代の武士社会の法律である御成敗式目には、他人の土地でも20年間自分の土地として占拠し続けると占拠していた者の土地となる、という現在の取得時効とほぼ同じ内容の規定があったそうです。

武士の所領争いを解決するために当時も取得時効の制度が必要だったのでしょうが、鎌倉時代の20年間と現在の20年間ではずいぶんと意味合いが違うような気もします。

にもかかわらず、どちらも20年が時効期間とされていて変わらないことに、時効制度の難しさが現れているような気がするのです。
posted by kuraben at 21:15| 井上弁護士