2011年11月21日

子どもの権利 (井上)

今月のある週末、広島市内で「子どもの権利条約フォーラム2011・広島」というイベントがあり、私も少しだけ会場を覗いてきました。

子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は1989年に国連で署名されて発行した条約で、国際人権規約などに代表される9つの基本的な国際人権条約の1つとされていて、ほとんどの国連加盟国が批准しており、もちろん日本も批准しています。

条約の精神を国内においても広く浸透させるため、各地方自治体で「子どもの権利に関する条例」を作ろうとする運動があり、広島市においても秋葉前市長のときには条例制定を目指したことがあります。

私の所属する広島弁護士会は「子どもの権利条例」制定に賛成する決議や声明を出して、前市長の取り組みを応援する側でした。

しかし、市民の間では反対意見も根強く、広島市議会も意見が割れていて、最終的に秋葉前市長が議会に条例案の審議を上程することを断念したという経緯をご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

条例に反対される方の主たる主張は、私の大雑把な理解では、@子どもは親や社会から保護される客体であるとして子どもが権利の主体であるということを強調することへの批判(「子どもには人権はない。」的意見)、A子どもの権利を前面に出す国内法令ができると学校現場でのいわゆる「モンスターペアレント」(学校に激しい苦情を寄せる父兄)に恰好の武器(言いがかりの材料)を与えてしまう、といったものだと認識しています。

反対派の主張も分からなくはないのですが、日本の批准した条約そのものを否定しかねない極端な内容の意見になると首を傾げたくなってしまいます。

行政が子どもに対する支援(例えば、親から虐待を受けている、育児放棄にあっている、貧困家庭で十分な生活ができていない等の状況にある子供たちへの支援などです。)を手厚く行うにはやはり国内の法令上の根拠があった方が望ましいですし、そもそも、子どもの権利に関する条約の精神が広く社会に浸透しているとはいい難い日本の現状にあっては一層、子どもの権利に関する包括的な法令が存在することが求められているのではないかと思っています。
posted by kuraben at 18:34| 井上弁護士