2011年05月16日

遷延性意識障害者の介護費 (倉田)

遷延性意識障害者とは、植物状態になって寝たきりの人のことを言います。私の事務所では、交通事故の被害者でこのような気の毒な状態になった被害者の事例を多く扱います。このような事例では、治療費とは別に高額な介護費がかかりますが、加害者に対しどこまでの損害賠償を認めるべきかが争点になります。

最近の判例を紹介しますと、次のような事例があります。
(1) 横浜地裁平成21年5月14日判決
 45歳の男性につき、自宅介護費として、妻が67歳になるまでは、平日は近親者介護費として日額1万円、休日は職業介護人2人分として日額3万2354円、その後平均余命まで職業介護人2人分日額3万2354円を認めました。

(2) 仙台地裁平成21年11月17日判決
 16歳の男子中学生につき、在宅介護を前提として、母親が67歳になるまでは日額1万5000円、以降は職業介護を前提に日額2万円を認めました。

(3) 東京地裁平成22年3月26日判決
 69歳の男性につき、妻は高齢のため職業介護人による在宅介護を前提にしつつも、公的介護サービスの提供を一定程度受けることも可能であるとの事情を考慮して、日額2万5000円の介護費を認めました。

いずれの事例も、請求額はもっと高額ですが、加害者にあまりにも高額な負担を強いるのは酷であるとの配慮から、裁判所が控えめに認定したのではないかと思われます。しかし、今後は、職業介護人の不足等の事情から介護費は更に高額になっていくものと考えられます。
posted by kuraben at 10:22| 倉田弁護士