2010年01月11日

警備員 (井上)

私は弁護士の仕事とは別にとある大学の法学部で破産法の講義を担当しています。

私は大学院で学んだ経験もないので、大学の教壇に立つのは荷が重いと感じているのですが、講師の仕事をお引受している以上、学生さん達にこれだけは伝えたいと思っていることがあります。

それは、破産に対して過度の偏見を持たないで欲しいということです。

破産制度のイメージを悪くしているものの一つに、いわゆる「破産者の資格制限」というものがあり、これは、裁判所で破産者とされた者は、破産手続が終了するまでの間、つまり破産者として扱われている間は、法律の規定などによって特定の職業や地位に付くことが制限されていることを指します。

資格制限の代表例が、警備業法に定める警備員の欠格事由で、破産手続中の者は警備員になることができないことになっています。

私は司法試験の受験生であったころ、警備員のアルバイトをしていたことがあり、実体験があります。

警備員になるためには、欠格事由が無いことを公安員会に認定してもらう必要があり、破産手続中で無いことの証明書を公安委員会に提出します。

破産以外の警備員の欠格事由はといいますと、懲役・禁錮刑を受けてから5年以内の者、アルコールや麻薬・覚せい剤の中毒患者、というものが代表例です。

因みに私の場合、後者の証明のために、警備会社から指示された診療所へ行くと、ろくに検査もしないで?診断書を書いてくれて、これを公安委員会に出しました。

お気づきでしょう。破産者は犯罪者や薬物中毒者と同列の扱いなのです。

「破産ってそこまで悪いことなの?」というのが、当時の私の率直な感想でした。

このような破産者の資格制限が、いたずらに破産のイメージを悪くし、経済的に困窮した人が裁判所に破産を申し立てるのを躊躇して、事態を一層悪くして、時には自殺に追い込まれてしまう原因の一つとなっているのではないかと私は考えています。

100年に1度の不景気の昨今、就職が難しい中、何とか身体一つでできる警備員の職に就いた人が、借金問題で破産すると職を失って経済的に再起がはかれないということでいいのか、本当に破産手続中の人が工事現場で交通整理をすると何か不都合があるのか、疑問に感じているのです。







posted by kuraben at 20:20 | TrackBack(0) | 井上弁護士
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