2009年11月23日

決闘罪について (井上)

はじめまして。弁護士の井上道と申します。
最初ですので、真面目に法律のお話しをしたいと思います。

 先週、決闘罪で少年らが逮捕されるというニュースがありました。決闘罪というのは、刑法に規定された罪ではなく、明治時代に出来た「決闘罪に関する件」という古い古い法律に規定された犯罪で、大雑把にいうと決闘をすること自体を処罰するというものです。あだ討ちの風習がまだ残っていた明治時代に、この風習をやめさせるために法律がつくられました。

 いわば「化石」のような法律だったのですが、近年は、暴走族少年達のいわゆる「タイマン」(申し合わせによる喧嘩)に適用されることが珍しくなくなりました。

 喧嘩は本来、刑法の暴行罪もしくは怪我人がでれば傷害罪で処罰されるべきものなのですが、暴走族同士のタイマンでは、予めどちらが勝とうが負けようが警察に被害届を出さないことが取り決められていることが多く、怪我をした被害者がいても警察には被害届がでないので傷害罪で立件することが難しく、暴行罪で立件するのも集団での喧嘩の場合は誰が誰にどのような暴力を振るったかをいちいち証明することは難しく、また、そもそも、暴行罪はさほど重い罪ではなく、逮捕や勾留の容疑とするのはためらわれるところがあります。

 そのため、怪我人がいてもいなくてもよく、また、参加者がそれぞれどんな暴力を振るったかの詳細がわからなくてもよく、しかも暴行罪より重い刑罰が予定されている決闘罪は、捜査側からみると便利な面があるようです。

 ただ、個人的には、このような捜査する側の都合のためだけに化石のような法律をもってきて重く処罰しようとすることには、疑問を感じています。
 
 暴走族のタイマンでは、お互い凶器を絶対に使わない、周囲に迷惑のかからない場所(河川敷など)を選んでやる、あるいは相手がギブアップといったらそれ以上は手を出さない、などのルールが決まっていたりして、喧嘩自体は褒められたものではないとしても、いきなりはじまる乱闘と比べてずっと紳士的な感じがします。

 また、タイマンに参加する少年らは、多少の怪我は覚悟の上ですから、少々の怪我をしたくらいでは「被害者」とはいえない気もします。
 そういう事情にもかかわらず、あだ討ち禁止のための法律を持ち出してまで重く処罰しなければならないのか、いささか疑問な気がするのです。
 
 タイマンを奨励するわけではなく、集団同士の喧嘩も肯定するわけではないので、誤解のなきようお願いしたいのですが、決闘罪なんてものが使われることにより、必要以上に少年等の処分が重くなってしまっているとしたら問題だと思うのです。 


posted by kuraben at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 井上弁護士
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