2014年08月01日

父子のDNA鑑定と最高裁判決 (倉田)

民法772条は「婚姻中の妻が妊娠した子は夫の子と推定する」と定めています(嫡出推定)。しかし、妻が他の男性との間に子を作り、DNA鑑定の結果、生まれた子は他の男性の子であって夫の子ではないと判定された場合、子は法律上、誰の子と認定するのが正しいのでしょうか。

この問題について、7月17日、最高裁は「民法772条の嫡出推定の規定がある以上、生まれた子は戸籍上の夫婦の子となる」という趣旨の判決を出しました。つまり、DNA鑑定によって別の男性の子であると判明したとしても、戸籍上は夫の子となるということです。
しかし、この判決はどこかおかしいとは思いませんか。私はこの判決は間違っていると思います。

生物学的に父子関係にあることがDNA鑑定で証明されたのであれば、「嫡出推定」は覆るのだから戸籍上の父子関係の推定は無効となるのが当然です。

過去の最高裁判例でも、妊娠時に夫婦が離婚状態だったり、夫婦が遠隔地(刑務所など)に住んでいたりして夫婦間に接触の機会がなかったことが明らかな場合には、嫡出推定は適用されないとしたケースがあります。それなのに、今回はなぜこのような判決を出したのでしょうか。私には理解できません。

ところで、今回のようなおかしな判決が出た以上、今後は国会で「嫡出推定」の民法772条の規定を見直す必要があります。この条文は、DNAの鑑定技術が発達していなかった時代に作られたものですから、現代の技術にマッチしたものに改正する必要があると思います。

posted by kuraben at 09:54| 倉田弁護士